“のりづけ”を意味する絵画の技法「コラージュ」。

新聞の切り抜きや書類、壁紙など、ありとあらゆる素材を組み合わせることで独自の世界観を表現する美術技法のことである。

絵画と彫刻の境界線を超えることも可能とされているコラージュの世界の中でも、群を抜いて抜群のセンスを輝かせるアーティストがいる。

その名も、「小町 渉(こまち わたる)」だ。

今回は、そんなコラージュアーティストの小町渉について紹介していく。

■コラージュアーティスト「小町 渉」の経歴・プロフィール
小町渉は東京生まれ。演歌作曲家の父、ハードコアバンドメンバーの兄を持ち、音楽的家庭環境にて育つ。

思春期時代は兄の影響で音楽活動を始めるが、ギターに施していたコラージュ作品がきっかけで数々のコラージュ作品を提供するようになる。

アートコレクターとしても有名なアメリカの俳優兼映画プロデューサーのデニス・ホッパーによる1971年公開の映画「ラストムービー」のパンフレットのコラージュ作品を依頼されたことを機に、本格的にアーティストとしての活動を開始。

中古のソファや椅子を題材としたリメイド作品が注目されて以降、パリを中心にアート展に出展、ファッションブランドとのコラボレーションを発表、米ミュージシャンのツアーオフィシャルTシャツのデザインなど、さまざまな活動を広げ欧米で高い評価を受ける。

写真やイラストを使ったコラージュ作品はもちろんのこと、孔版画技法のひとつであるシルクスクリーンなど、ユニークかつユーモア溢れる作品を生み出し、パリの有名セレクトショップ「コレット」や老舗デパート「ボンマルシェ」などで発表した作品も有名だ。

日本でもアート展への出店をはじめ、百貨店やファッションブランドとのコラボレーションなどで作品を展開している。

□展示会・受賞歴など
【展示会】
・2000年
東京:DEEP GALLERY「bc/ ad」
パリ:COLETTE「group show.la plages」
パリ:CHRISTOPHE LEMAIRE「wataru komachi @christophe lemaire」

・2001年
パリ:LE BON MARCHE DEPARTMENT「group show. exposition collections particulieres」
東京:SPEAK FOR BLDG「kiss the carpet」

・2002年
東京:LACOSTE 12.12 PROJECT「group show」

・2005年
ロンドン:THE PINEAL EYE「god save the kate moss」

・2006年
東京:CIBONE GALLERY「wataru komachi exhibition」

・2007年
東京:国立新美術館THE NATIONAL ART CENTER TOKYO.SFT GALLERY「group show.from Tokyo」

・2009年
東京:TOKYO HIPSTERS CLUB「rock is my religion」

・2010年
東京:ROCKET GALLERY「pussy eye」

・2012年
東京:TRAUMARIS|SPACE「WATARU KOMACHI Recent Works VERY STICKY FINGERS VOL.1」

・2015年
東京:VOILLD「鴨川ランズ.スルー.イット」
東京:表参道ヒルズ スペース オー「SHOWCASE “stands”」

・2016年
東京:(Place) by method「ニューノスタルジー」

・2018年
東京: CLEAR GALLERY Tokyo「I Don’t Want To Grow UP」

・2019年
東京: CLEAR GALLERY Tokyo「Time’s Up (Pokemon Go! Home)」

【受賞歴】
・2005年
BEST TOKYO DESIGN:DESIGN TIDE TOKYO 2005

・2010年
BEST DEBUTANT OF THE YEAR:「MFU. 」

■小町渉の代表作
コラージュ作品のみならず、写真やプロダクト、ペインティングなど、さまざまな作品を表現し続ける小町渉の代表作といえば、次のような作品が挙げられる。

・GOD SAVE THE KATE

http://blog.livedoor.jp/sdes_gallery/archives/51519373.html
翻訳すると「神はケイトを救う」。一人の女性が大きく映し出された作品で、口元や目元などに「GOD SAVE THE KATE」と描かれたラベルが貼りだされたレトロの中にモダンを中和させた雰囲気が特徴的なアート作品。

・DIE YOUNG STAY PRETTY

http://blog.livedoor.jp/sdes_gallery/archives/51519383.html
男女のヌードやセックスシーンをコラージュしたエロティックなアート作品。無造作に描かれた落書き調のイラストやキーワードに躍動感があり、ガヤガヤした雰囲気ながらもアーティスティックに仕上がっている。

・2012年新作発表展の第1弾 ※作品名不明

http://blog.livedoor.jp/sdes_gallery/archives/51799651.html
アートやファッションのボーダーを超越した、クロスオーバーなロックなアート作品。

■小町渉の作品テイスト
小町渉の作品は、アートの枠に留まらず、ファッションやミュージックなどの世界観との融合性ある作風が特徴だ。

見たままのセンスだけではなく、今の時代性や文化、社会問題をサジェストしながら独自の世界観を作品に落とし込むのが小町渉の魅力と言えるだろう。

小町渉の作品からは、アートの美しさだけではなく時にシニカルな情報や言葉もあふれている。

重層的に構築された作品からは、ピュアな創造性までも感じ、その世界観が多くのファンを魅了しているのだろう。

■今後の小町渉の活動へ向けての期待
コラージュを中心に、写真やペインティングなど、さまざまな手法を用いて作品を世に届ける小町渉。

2000年に個展が開かれてから勢いは止まらず、毎年のように次々と新作を発表している。

東京やパリだけではなく、地方にてアートワークが行われたり、雑誌のコラムやインタビュー記事にて取り上げられたりすることも多々あるようだ。

20年を超えてここまで勢いのあるアーティストは他にはいないだろう。今後の活躍に期待したいところだ。